森田自身の語る「行動」その1
森田療法は、とにかく行動しろ、という治療法のように思われがちです。
まず動くことだ、外の事柄にさっそく取り組むのだ、というように。
そのさい、本人の「やりたい気持ち」「やりたくない気持ち」
といったものは不問にされ、
あるいは振り返ることさえタブーとされるものになるようです。
ところが森田のいう「行動」は、本来もっとニュアンスがことなります。
はっきりいえば、本人のやりたい気持ちから生じる行動を、
森田は「心身の自然現象」として、讃えているのです。
具体的に彼の文から引用しましょう。
「まず試みにいつまでも寝ていてみるとする。・・・数日後には、
活動の欲望が高まってきて、無聊の苦しみに耐えられなくなる。
・・・寝床を出て終日、日光と空気の中で庭にたってみる。
いつとはなしに何かに手を出すようになる。
あるいは庭の隅々から掃除をし、・・・あるいは蟻の穴をどこまでも
追求するとかいうふうになる。
・・・さてまた、眼に触れるままに、下駄の鼻緒の切れたのを直す・・・
今まで習ったことなく、したこともないのに、
やってみればチャーンとできる。
ふと縁側のカナリヤに目がつく。その籠を掃除し、水をかえ、
菜っ葉をやる。これが自然の愛の発露である。
あるいは女中の代わりに風呂をたいてやる。
けっして生活の手段のため、愛のため、さては
社会奉仕の目的でするのではない・・・」
つづく
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